このオーガニック日記では、私たちがどうしてオーガニックという選択をしているかをそれぞれ日記として記していきます。記念すべき第一回はココシーズンズ社長・川田裕司です。

①オーガニックとの出会いのきっかけ
私は八百屋の息子として生まれました。大学卒業後、修行をするために地域密着のスーパーマーケットに就職。そこで各部門の仕事を学ばせていただきました。その中で、農薬による健康被害や、養殖での抗生物質やホルモン剤などの投与による奇形魚の存在を知り、食の現実を目当たりにしたのです。
「これは大変だ。何とかしなければ」。
そんな危機感から、オーガニックに目覚めていきました。まずは、実家が八百屋だったこともあったので、農薬を使わない野菜を扱う店を始めました。
しかし、当時はまだオーガニックという言葉さえ一般的でなかった時代。
消費者の理解を得られず、店はわずか2年で閉店してしまいました。
その後、私は普通のスーパーマーケットとして店を戻し、営業を続けていきました。
②生活や考え方の変化

転機が訪れたのは2011年。東日本大震災の発生です。
福島第一原子力発電所の事故により、千葉県産の野菜への放射能汚染の不安は拡大しました。
当時、地産地消を軸としていた私の店(普通のスーパーマーケット)は、たちまち窮地に陥いりました。赤字は膨らみ続け、またしても閉店の危機。「もうダメかもしれない。でも、このまま終わるのか」。
私は最後の望みを託し、ずっとやりたかった「オーガニック」に路線変更することに決めました。
「どうせだめなら、自分の本当にやりたいことをやろう」。そんな思いが、私を突き動かしたのです。
すると、不思議なことに売り上げは徐々に回復していきました。
消費者の健康志向の高まりや、食の安全に対する関心の高まりが、オーガニック野菜の需要を後押ししたのです。
③特に印象に残っている体験

もともと、私の思いは単にオーガニック食品を販売したいというより、食を通して皆さんの健康に寄与したいという想いでした。
転機となったのは、アメリカ発の予防医学の講座に、知人に誘われて参加したことです。そこで学んだのは「細胞レベルで元気にならないと、体は元気にならない」という真理でした。
漠然と健康に寄与するためには「オーガニックが良い」と考えていた私の視点が、「細胞レベルで体に何が起きているのか」という観点へと進化しました。
食材を見る目も厳しくなり、人間の体に良いもの・悪いものを識別する力が養われていきました。特に戦後開発された化学物質の危険性、農薬は「戦争中に人を殺すために作られたもの」という事実に向き合うようになりました。
「では自分に何ができるのか?」その答えとして、最終的には白衣を着て、病気の方々に「こんな野菜を食べたら良いですよ」とアドバイスできる存在になりたいと考えるようになりました。現在は医師とのコラボレーションも進め、健康に寄与する食の提供を通じて、子どもたちの未来を守る活動に取り組んでいます。
④オーガニックスーパー社長の夢

私の夢は現在進行形でさらに広がっています。
バーチャルの世界が発展する中で、「将来的には従来の店舗形態は不要になるかもしれない」と考えています。
そこで構想したのは、ただ販売するという店ではなく、本当に素晴ら日本のオーガニック食材を揃えた「体験型オーガニックショッピングセンター」です。イタリアの「イータリー(イタリアの食文化を体験できる「食べる、買う、学ぶ」をコンセプトとする複合施設)」のオーガニック版のようなイメージですね。
安全な原材料で作られたお惣菜コーナー、くつろげるカフェスペースを設けたオーガニックスーパー。さらにはドッグランや貸農園も併設して、家族が一日中楽しめる空間を目指します。オーガニック野菜を作ったり、収穫したりの体験もできる。
そして夕方からはシェフも出てきて、美味しい食事とお酒を楽しめる場所にもなったら良いですね。一流の料理人たちが目の前で食材を調理し、本物の味を体験できる仕組みを整えたいと考えています。単なる買い物の場ではなく、食と健康の未来をともに創る、コミュニティの拠点となるような場所を作ることが私の次なる挑戦です。

⑤これからオーガニックに挑戦したい人へのメッセージ
私たちの体の不調の多くは、日々口にしている「毒」が原因かもしれません。
農薬、小麦、砂糖、乳製品—これらは実は日本人の体質に合わない食品です。
日本人は古来からこれらをほとんど食べない民族でした。西洋化した食生活の浸透により、様々な病気が増加し、日本はがん発生率が世界一となっています。
日本の伝統食は発酵食品を中心としていました。健康への第一歩として、まずは調味料を見直してみてください。良質な調味料に変えるだけで、体の変化を実感できるはずです。次にオーガニック野菜を取り入れてみましょう。
甘いものがどうしても欲しくなったら、ごはんをもう一杯食べることをおすすめします。白米でも構いません。もちろん、最終的には玄米に移行していただけると嬉しいですが、焦る必要はありません。体に必要なのはミネラルであり、それが不足すると甘いものを欲するのです。
食生活を少しずつ変えていくことで、自分の体が変わっていく様子を感じてください。あなたの体は必ず応えてくれます。健康は一日にしてならず、小さな変化の積み重ねが大きな違いを生み出すのです。
私たちのオーガニックスーパーが、そんな健康への一助となれば幸いです。
