母乳育児と食生活 - ママと子どもの健康を考える

母乳育児と食生活 - ママと子どもの健康を考える

母乳育児と食生活:助産師×乳腺外科医が語る!ママと赤ちゃんの健康を守る食の秘訣

現代社会において、母乳育児の意義や食生活の重要性が見直されています。本記事では、助産師としての60年の経験を持つ平田先生と乳腺外科医として20年のキャリアを持つ山田先生に、弊社代表の川田が対談を通して聞いてきたことをまとめました。母乳育児が単なる栄養補給を超えた価値を持つこと、そして現代の食生活がもたらす健康への影響について考察します。

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【平田先生プロフィール】

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平田喜代美先生は1942年生まれの母乳育児コンサルタントで、「おっぱい110番」という診療所を運営されています。1965年に九州大学医学部付属助産婦学校を卒業後、国立福岡中央病院で勤務し、1981年に平田母乳育児コンサルタントを開業されました。桶谷式乳房治療手技認定者で、母乳育児推進研究会会長も務められています。1983年には母乳と哺乳瓶の飲み方の舌の違いを世界で初めて映像的に証明し、各種受賞歴も多数お持ちです。20万件以上の母乳育児相談に応じ、著書に『おっぱい110番』『おっぱい先生の母乳育児「超」入門』などがあります。

【山田先生プロフィール】

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山田舞先生は、乳がん治療のスペシャリストとして20年以上の臨床経験を持つ乳腺外科医です。乳がんの発症率が近年急増していることを指摘し、20年前は18人に1人だった発症率が現在は9人に1人にまで上昇していると警鐘を鳴らしています。食生活の変化が乳がん発症に大きく関わっているという見解を持ち、特に腸内細菌と乳がんの関係についての研究に注目。患者に対し食生活改善の重要性を啓発し、乳がん予防のための食生活改善プログラムの開発に取り組んでいます。
 2025年5月に福岡糟屋郡に『さくらウェルネスクリニック』を開院。がんの治療はもちろん、地域の健幸指導をしたいと院内にフィットネス、キッチン、敷地内には畑も併設されています。

母乳育児の本質的価値

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平田先生は長年の臨床経験から、「母乳育児が赤ちゃんの栄養補給だけでなく、母子の絆を深める重要な役割を果たす」と指摘しています。
母乳には赤ちゃんの心身の発達に不可欠な栄養素が含まれているだけでなく、授乳という行為自体が母子間の情緒的な結びつきを強化します。
しかし近年、母乳の質に関する懸念が高まっています。平田先生によれば、戦後の食生活の急激な変化により、母乳の栄養価や質が低下傾向にあるといいます。特に高脂肪・高カロリー食の普及が、母乳の質に悪影響を及ぼしているとのことです。
質の低下した母乳だと赤ちゃんは嫌がって泣きます。それを見たお母さんは「おっぱいが出ていない(足りていない)」と勘違いをしているとのこと。そうして現代の育児ではミルクがどんどん使われるようになっていっていることを、平田先生はとても懸念されています。
「母乳は母親が摂取する食品から作られます。バランスの取れた食事を心がけることが、質の高い母乳を作る基本です」と平田先生は強調します。43年間で30万件以上の母乳育児のケースを扱ってきた経験から、母親の食生活改善が赤ちゃんの健康に直結すると説いています。

乳がん発症率の増加と食生活の関連性

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https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/14_breast.html

一方、山田先生は乳がんの発症率に関する衝撃的な事実を共有しました。
わずか20年前は乳がんの発症率は18人に1人でしたが、現在では9人に1人にまで急増しているのです。この急激な増加の背景には、食生活の変化が大きく関わっているといいます。
「乳がんの発症率上昇は、日本人の食生活の西洋化と強い相関関係があります」と山田先生は説明します。特に動物性脂肪の過剰摂取や添加物の増加が、乳腺の健康に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。
さらに興味深いのは、腸内細菌と乳がんの関係についての最新研究です。山田先生によれば、食生活が腸内細菌叢(腸の中に住む様々な細菌の集まり)に影響を与え、それが乳がんのリスクに関連しているという研究結果が出始めているとのこと。
「私たちの体は食べたものでできています。良質な食材を選ぶことは、乳がん予防の第一歩になり得るのです」と山田先生は強調します。

戦後の食生活の変化と健康への影響

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両先生は、戦後の日本における食生活の急激な変化について深い懸念を示しました。伝統的な和食から高脂肪・高カロリーの西洋食への移行が、様々な健康問題の原因になっているというのです。
平田先生によれば、かつての日本人の食事は穀物、野菜、海藻、発酵食品などがバランスよく含まれた理想的な食生活でした。しかし現代では、加工食品や外食の増加により、添加物や農薬の摂取量が増えています。これが母乳の質低下だけでなく、様々な健康問題を引き起こしているといいます。
「私が助産師としてのキャリアを始めた頃と比べて、明らかに母乳の質や量に変化が見られます」と平田先生。「特に脂肪分の質や量、そして免疫物質の含有量に違いが出ています。これは母親の食生活を改善することで、ある程度回復が可能です」
山田先生も同様の見解を示し、「日本人の伝統的な食事に回帰することが、乳がん予防にとって重要なステップになる」と述べています。特に和食の基本である発酵食品や海藻類、季節の野菜などを積極的に取り入れることの重要性を強調しました。

乳腺ケアの重要性

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平田先生は、母乳育児を成功させるためには乳腺のケアが不可欠だと説きます。授乳中のトラブルや痛みは適切なケアにより予防・改善できることが多いといいます。
「乳腺は非常に繊細な器官です。適切なケアを怠ると、母乳の出が悪くなったり、乳腺炎などの問題が発生したりします」と平田先生。特に初産婦さんには、正しい授乳方法や乳房のセルフケアの方法を丁寧に指導することが重要だと強調します。
山田先生も医学的見地から乳腺ケアの重要性に同意し、「乳がん予防の観点からも、日常的な乳腺ケアは非常に有効です」と付け加えました。定期的な自己検診や違和感があれば早期に医療機関を受診することの大切さを訴えています。

オーガニック食品の価値と「命の値段」

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対談の後半では、オーガニック食品の価値について熱心な議論が交わされました。両先生は、オーガニック食品が高価であるという一般的な認識に対して、「それは命の値段」という視点を提案しています。
「食費を単なる出費と考えるのではなく、健康への投資と捉え直す必要があります」と平田先生。「有機栽培された食材を選ぶことは、自分自身の健康を守るだけでなく、環境保全や生産者支援にもつながります」
山田先生も同様の見解を示し、「一見高価に思えるオーガニック食品も、医療費や将来の健康リスクを考慮すれば、決して高くはありません」と説明します。特に妊娠中や授乳中の女性、そして成長期の子どもたちには、可能な限り農薬や添加物の少ない食品を選ぶことの重要性を強調しました。

まとめ:健康な次世代のために今できること

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平田先生と山田先生の対談から、母乳育児の重要性と食生活の改善が、個人の健康だけでなく次世代の健康にも大きく影響することが明らかになりました。
具体的な行動提案として、以下の点が挙げられました:

  1. 母乳育児中の女性へのきめ細かな食生活指導の実施

  2. 乳がん予防を目的とした食生活改善プログラムの開発と普及

  3. オーガニック食品の価値と入手方法に関する消費者教育

  4. 乳腺ケアの重要性についての啓発活動

「私たちの体は、私たちが食べたものでできています。そして母乳は母親の体からつくられます。健康な次世代を育むためには、まず私たち自身が食生活を見直すことが第一歩です」と平田先生は結びました。
山田先生も「乳がんをはじめとする現代病の多くは、食生活の改善によって予防できる可能性があります。一人ひとりが今日から食に向き合うことが、未来の健康社会への鍵となるでしょう」と締めくくりました。
私たちの食卓が未来の健康を決める—そんな重要なメッセージを胸に、日々の食生活を見直してみてはいかがでしょうか。

対談の動画はこちらから
https://youtu.be/RnO0zVK3E28?si=sh6gsgZs0XCla-2f

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