【養鶏家対談】&卵にまつわる豆知識
鶏は本当に毎日卵を産むの?養鶏のプロが語る産卵の真実

スーパーに行けば当たり前のように並んでいる卵。多くの人が「鶏は毎日卵を産む」と思っているのではないでしょうか。しかし、実際の養鶏現場での実態は少し違うようです。
今回は、北海道厚真町で養鶏を営むテンアール株式会社社長「廉くん」との対談から見えてきた、卵の産卵に関する興味深い事実をお伝えします。卵は身近で頼れる栄養源として、各家庭で親しまれていますよね。その卵について、知っているようで知らない豆知識もたっぷりご紹介します!
鶏の産卵率はどれくらい?養鶏現場の実際
むっちゃん「鶏は本当に毎日卵を産むのでしょうか??」
廉くん「毎日は産まないと思います。ケージ飼いの鶏でもほぼ毎日という程度で、365日365個という話は聞いたことがありません。当農場では約70%の産卵率です。」
調べてみると、鶏の産卵サイクルは約25-27時間ごとに1個というリズムがあり、毎日少しずつ産む時間がずれていくようです。やはり、毎日ということはないようですね。
廉くんの農場では産卵率は約70%。これは現代の養鶏場としては低い数値だそうです。おそらく一般的な養鶏場では90%もめずらしくないだろうということです。
品種別産卵率を比較!レイヤーとウコッケイ
さらに興味深いのが、品種による産卵率の大きな違いです。
むっちゃん「ウコッケイの産卵率はどのくらいですか?」
廉くん「ウコッケイは原種に近い品種で、飼育経験では約30%程度の産卵率でした。」
まとめると・・
・現代の産卵鶏(レイヤー): 約90%の産卵率
・テンアール株式会社: 約70%の産卵率
・ウコッケイ(在来種): 約30%の産卵率
この違いは、現代の養鶏業が品種改良によって産卵能力を高めた鶏を育てているためだったのですね。また、飼育環境によっても左右するようです。より原種に近い環境で飼育されるウコッケイは、本来の産卵リズムを保っているということが言えそうです。
廉さん、貴重なお話をありがとうございました!!
実際に2人が話しているYouTubeはこちら
さて、ここからはココシーズンズから皆様へ
意外と知らない卵についてもう少し深ぼっていきます!
知っておきたい卵の基礎知識
【栄養・選び方・カラザ】
疑問①卵は「完全栄養食品」って本当?
本当です!!
卵は食物繊維とビタミンC以外のすべての栄養素を含む完全栄養食品です。特に注目すべきは以下の点:
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アミノ酸スコア100点: 体内で合成できない9種類の必須アミノ酸をバランスよく含んでいる
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豊富なビタミン: ビタミンA、D、E、B群など多種類のビタミンを含有
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良質な脂質: 悪玉コレステロール値を低下させるリノール酸やオレイン酸、レシチンなども含まれている
疑問②白い卵と茶色の卵。殻の色で栄養に違いはあるの??
スーパーで卵を選ぶとき、「茶色い卵の方が栄養価が高そう」「自然で体に良さそう」と思って茶色い卵を選んでいませんか?
実は、殻の色が違っても、卵そのものの栄養に違いはありません。殻の色は鶏の品種によって決まるもので、栄養価とは全く無関係なのです。
人間の髪の色が人によって違うのと同じで、鶏の品種による遺伝的な特徴の違いに過ぎません。茶色い卵だから特別に栄養価が高いということはないので、色よりも鮮度や生産方法で選ぶことをおすすめします!
疑問③卵の白いひも状のものは何?取り除いた方がいいの?
卵を割ったときに卵黄のふちにくっついている白いひものような塊、気になって取り除いていませんか?これは「カラザ」です。そして、実はとても栄養価の高い部分なんです!
カラザには何が含まれているの?
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免疫力を高める効果のあるシアル酸
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カルシウム
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ビタミンB1、B2
見た目を気にして取り除く人も多いですが、栄養面でとても優秀な部分なので、ぜひそのまま食べることをおすすめします!
疑問④卵って意外と賞味期限が長い。
新鮮な卵と少し古い卵、どう使い分けるのがベスト?
「卵は新鮮なほど良い」と思いがちですが、実は用途によって使い分けると、より美味しく調理できるんです!
新鮮な卵が向いている料理
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生食(卵かけご飯、すき焼きなど)
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半熟料理(温泉卵、半熟ゆで卵など)
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卵白と卵黄の食感の違いを楽しみたい料理
少し日がたった卵が向いている料理
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メレンゲを使うお菓子作り(シフォンケーキ、マカロンなど)
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ゆで卵(殻がむきやすくなります)
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しっとりした食感を求める料理
これは、卵白の性質が時間とともに変化するため。日がたった卵の方が卵白の泡立ちが良くなり、ゆで卵では殻がむきやすくなります。
賞味期限内であれば、用途に合わせて使い分けてみてくださいね!
疑問⑤最近よく見かける「平飼い卵」って何?
スーパーで「平飼い卵」という表示を見かけることが増えてきましたが、普通の卵と何が違うのでしょうか?
平飼い(ひらがい)とは
平たい地面のうえで放し飼いの状態で飼育することです。太陽の光が舞い込む鶏舎と緑が広がる広大な敷地を鶏たちが自由に動き回れるようにして、できるだけ自然に近い環境でストレスを感じることなく生きられるような養鶏方法です。
従来の飼育方法との違い
一般的なケージ飼いでは、鶏は狭いケージの中で飼われていますが、平飼いでは鶏が朝早くから走り回り、暗くなったら集まって「止まり木」と呼ばれる寝床で就寝する、より自然に近い生活を送れるのです。
注目され始めた背景
日本の養鶏業界は海外諸国に比べて遅れをとっていましたが、最近になって「平飼い」というワードが注目され始めました。大きな養鶏企業でも、全体の一部に平飼い飼育を導入することが増えています。
今回対談した廉くんの農場(テンアール株式会社)では、約7000羽すべてが平飼いで、世界基準でも恥ずかしくない飼育方法を実践しているんです!
テンアールこだわりの飼育方法
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約7000羽すべてが平飼い: 太陽の光が舞い込む鶏舎と緑が広がる広大な敷地を鶏たちが自由に動き回れるようにしています
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自家配合飼料: 小麦や米ぬかなど北海道産の単味飼料を仕入れて、毎朝、自家配合して与えています
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薬剤不使用: 元気いっぱいの鶏たちは、病気になりにくく、抗生物質を使用することはありません
特徴的なレモンイエローの卵黄
麦を主としたエサを食べているので、産まれる卵は、臭みが少なく、サラリとした爽やかな旨味を感じます。また、着色成分を添加していないので、卵の色はレモンイエローです。
ママにおすすめ!夏の卵レシピで暑さを乗り切ろう
来週からは夏休み!子どもたちが家にいると、毎日のメニューに悩みませんか?
暑い日が続く夏にぴったりの、さっぱり美味しい卵レシピをご紹介します。また、妊娠・出産を控えている方や子育て中のママにとっても、卵は手軽に栄養補給できる強い味方です!
1. 夏にさっぱり!冷やし茶碗蒸し
材料(4人分)
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卵 2個
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だし汁 300ml
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塩 少々
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しょうゆ 小さじ1
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きゅうり 1/2本(みじん切り)
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ミニトマト 4個(半分に切る)
作り方
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卵を溶いて、冷ましただし汁、塩、しょうゆを加えて混ぜる
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茶碗蒸しの器に注ぎ、蒸し器で10-12分蒸す
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粗熱を取り、冷蔵庫で冷やす
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食べる前にきゅうりとミニトマトをトッピング
暑い日にさっぱりと食べられて、のど越しも良好!子どもたちにも人気です。
2. 夏休みランチに!卵サラダサンドイッチ
材料(作りやすい分量)
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ゆで卵 4個
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マヨネーズ 大さじ3
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塩・こしょう 少々
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食パン 4枚
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レタス 適量
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きゅうり 1/2本(薄切り)
作り方
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ゆで卵を作り、フォークで粗くつぶす
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マヨネーズ、塩・こしょうを加えて卵サラダを作る
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パンにレタス、卵サラダ、きゅうりをはさんで完成
作り置きできるので、忙しい夏休みのランチにぴったり!子どもたちも大好きな味です。
3. 暑い日の栄養補給!冷製卵スープ
材料(2人分)
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卵 1個
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冷たいコンソメスープ 400ml
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トマト 1/2個(角切り)
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青ネギ 適量
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塩・こしょう 少々
作り方
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卵を溶いて、少しずつ冷たいコンソメスープに加えながら混ぜる
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塩・こしょうで味を調える
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器に注ぎ、トマトと青ネギをトッピング
火を使わずに作れるので、暑いキッチンに立つ時間を短縮できます!
まとめ
私たちが安心して卵を食べることができている背景には、テンアール株式会社のような、鶏の健康と卵の質にこだわる生産者の努力があります。
こうやって生産者さんと話すと、命をいただいているということ、改めて思い出すことができます。
卵は賞味期限が切れても食べられるほど保存性も良く、調理も簡単。忙しい毎日を送るママたちにとって、卵は手軽に良質なタンパク質と多様な栄養素を摂取できる心強い味方です。
命を分けていただいている感謝を忘れずに、大事に取り入れていきましょう。
ぜひテンアールさんの卵、食べてみてくださいね!
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参考文献
企業情報
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テンアール株式会社公式サイト「https://10a.jp/」
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小林農園(テンアール株式会社)「https://kobatama.com/」
栄養学・卵の豆知識
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ふるなび公式ブログ「最強の完全栄養食・卵の効果がすごい!生と茹での違いやおすすめの食べ方を解説」
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森永製菓「卵をタンパク質摂取に活用しよう!卵の栄養成分と活用レシピ」
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トプラン株式会社「卵の豆知識」
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JA全農たまご株式会社「たまごでどんな栄養が採れるの?」(2021年6月)